賽は投げられた。

と云えば、ルビコン川を渡ろうとしたユリウス・カエサルが発したとされる有名なセリフですが、今回採り上げるのはそう云うことではなく確率問題です。



「n人でじゃんけんをした時、○○と成る確率はいくら?」
「サイコロを投げたとき○○と成る確率はいくら?」


とかそう云うお話。


先ず、じゃんけんの話から。
クイズ的には、「1/3」と答えておけば大丈夫です。
何故なら、ふたりじゃんけんでも3人じゃんけんでも、Aさん(便宜上、参加者のひとりをAさんとしておき桝)が「勝ち」「負け」「相こ」に成る確率はいづれも1/3だから。
そして、4人以上のじゃんけんに成ると、5カウントだとか20分100問ペーパーだとかの制限時間で計算するのが困難であることも然ること乍ら、其処までして確率計算の可不可を問う意義が無いからです。
もし「4人以上でじゃんけん」が出題された場合、きっと答は「同じ」です。
当然のことですが、Aさんが勝つ確率と負ける確率は同じですから。
因みに相こに成る確率は13/27です。参考までにどうぞ。
じゃんけんの話は此れくらいで。



次、サイコロ。
サイコロの確率計算を取り扱う上で避けて通れないキーワードが有り桝。
其れは「同様に確からしい(equally likely)」
「サイコロに仕掛けがあって5が出易い」とかそんなことは無いよ、と云う申し合わせ事項を簡潔に表した言葉です。
時々僕が出し桝。


さて本題。
例えば、「ふたつのサイコロを投げたときに両方偶数が出る確率」


「全く関係の無いふたつの出来事」(例えば、ふたつのサイコロを振るとき、片方の目が6だったとしても、もう片方の目はそんなことには関係無く矢ッ張り1から6のどれかが出る)についての確率は基本的に掛け算すれば出桝。


1ツ目のサイコロで偶数の目が出る確率は1/2です。……A
2ツ目のサイコロで偶数の目が出る確率は矢ッ張り1/2です。……B
ですからAとBの両方を満たす確率は


1/2 × 1/2 = 1/4 です。


そう云うわけで、論理学で能く出てくる「AかつB」のことを専門用語で「論理"積"」と云うのは中々当を得てゐると思い桝。


余談ですが、今日読んだ本の中に面白いことが書いてありました。
風が吹けば桶屋が儲かる」と云う諺が有り桝。
風が吹く→埃が舞う→埃で目を患ってしまう人が増える→三味線弾きに成る人が増える→三味線の需要が増えるので猫が乱獲される→すると鼠が増える→鼠は桶を齧るので、鼠が増えることによって齧られる桶も増える→桶屋が儲かる
要は、「意外な処に影響が出る」と云う意味です。

しかし数学的に考えてみるとどうでしょうか。風が吹くと埃が舞い上がる。これが九十%正しい、すなわち〇・九とする。ところがその次に、埃が目に入って目を患う確率は一〇%、すなわち〇・一くらい。その中から目が見えなくなる人となると、〇・〇〇一くらい。その次の三味線弾きになるとまた〇・〇〇一。各ステップを全部かけていくと、おそらく確率は一兆分の一以下になるでしょう。要するに、現実には風が吹いても桶屋は儲からない。

国家の品格』/著・藤原正彦 P.58)

また、此の諺には「アテに成らない期待をすること」と云う意味も有り桝。


今日の出典:
TVクイズ番組攻略マニュアル3 P.196 Q.3
文責:Hなちっこ